刃物やカトラリー、キッチン用品などなど多数の金属製品の産地として名高い、新潟県は燕三条。
17°を生み出した「シゲル工業」は、この地でおよそ半世紀にわたりものづくりを続けてきた企業です。


実はシゲル工業は、刃物の中でも徹底した精密さを求められる「理美容バサミ」のトップメーカー。
数ミクロンの狂いも許さないような、職人の眼と手でつくられる徹底した品質。そうしたものづくりの姿勢が長きにわたりプロに支持されています。


シゲル工業は同時に、ピーラーの刃やおろし金など、調理器具もOEMでの製造を続けてきた「刃物屋」。なんと世に送り出したおろし金の数は、30年で数千万個以上になるそう。
作り方から、作る。
「俺はいま、82歳にしておろし革命の真っ最中だ」と語るのは、創業者であり現会長の藤田茂さん。
ものづくりが大好きで、もはや「発明家」である藤田さん。聞くところによると、なんと工場の機械の7,8割は自分たちで設計したのだそう。

「今あるものより優れているものしか作らない。」「真似はしない、真似できることはしない」というスタンスを徹底していて、製品ごとに機械を設計するほど。
作り方から作る、だからこそオンリーワンの製品づくりが実現できているのです。
30年前におろし金のOEM生産を始めたときも、機械を自分たちで開発したのだといいます。
そしてこの「17°」を開発するタイミングで機械を改良し、今までの「おろし金」というもの自体に革命を起こそうとしているのです。

長年日本のおろし金を作ってきたメーカーが再発明した、全く新しいおろし金。
近年はしのぎを削るように様々なおろし金が登場していて、私も仕事柄様々な製品に触れてきました。
その中でもここまで機能性と美しさのバランスが取れたおろし金はないかもしれない。17°は、そう思わせてくれる完成度でした。