陶眞窯 4寸マカイ 茶碗

沖縄の空気を纏ったお茶碗

今回は沖縄のやちむんを代表する壺屋焼（つぼややき）から、陶眞窯の「4寸マカイ」をご紹介します。

赤絵 ブーゲンビレア

近頃は沖縄で作られた食器のことを「やちむん」表現することが多いですが、正確には焼き物のことを指す方言。そして「マカイ」も、お茶碗を指す方言なんです。器を通して産地の文化や暮らしを新たに知ることができるって素敵。ちょっとワクワクしてきました。

［手持ち］赤絵 ブーゲンビレア

陶眞窯の「4寸マカイ」は、名前の通り直径約12cmと一般的なご飯茶碗のサイズ。暖かく柔らかい雰囲気の色味が、すっと食卓に馴染むお茶碗です。なんだか産地に通ずるものを感じませんか？

ご飯茶碗としてはもちろん、副菜を盛って小鉢としても活躍してくれます。

染付 ゴスアメ唐草

はじめて見たとき、晴ればれとした風景が広がる土地で、この器が作られている様子が自然と想像できて驚きました。手にした器から産地を感じられるって、なかなかないことだと思います。沖縄のやちむんが全国各地で愛される理由はこういうところにあるのかもしれません。

自然と伝統を映した器

4寸マカイは「唐草」と「ブーゲンビレア」の2つの模様。一つひとつ、職人の手で丁寧に彩られています。筆で描くことで生まれる釉薬の濃淡や溜まりが見られるのも、手づくりだからこその魅力ですよね。

［左］染付 ゴスアメ唐草、［上］赤絵 ブーゲンビレア、［下］染付 コバルト唐草、［右］染付 デイゴ唐草

唐草は、壺屋焼で古くから愛されてきた伝統的な模様です。四方八方につるを伸ばす様子から、長寿や子孫繁栄などを表すとされています。内側まで描かれているところもお気に入り。

染付 ゴスアメ唐草

まっすぐ伸びたつるに花がついた「デイゴ」は沖縄県の県花。壺屋焼ならではの模様です。

鮮やかな赤が目を引くブーゲンビレアは、伝統的な「赤絵」で描かれています。呉須で絵付けをして焼いたあと、赤で絵付けをしてもう一度焼き上げる、時間と手間が必要な技法です。

派手すぎないのにちゃんと目をひく、呉須と赤の組み合わせ。よく見ると細かな絵付けや線彫りも施されていています。スタッフにも人気の模様でした。

土づくりから、想いを込めて

陶眞窯は、陶土づくりから独自で行う分業制の窯元です。色鮮やかな釉薬も昔から伝わる製法で作っているそう。

私の密かなお気に入りポイントは、「白化粧」という技法によるアイボリーのような色味です。

4寸マカイは、高台の素地に見えるように赤土で作られているのですが、器をよりきれいに見せるために白い土を使った化粧掛けが施されています。絵柄の美しさだけでなく、ベースとなる器の色があるからこそ、多くの人に愛される暖かさや素朴さが出せるのかなと思います。

［手持ち］赤絵 ブーゲンビレア

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